ロンググッドバイ The long good-bye レイモンドチャンドラー 村上春樹 訳 早川書房

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ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)

【今日の一言】
カッコつけてるのではなく、マジにギムレットが飲みたくなるんです

香りと言えばいいのでしょうか……何に惹かれるんだろう、レイモンド・チャンドラーのミステリーに。今回読んだのは、ロンググッドバイ。村上春樹訳。
多くのミステリーファンがそうであるように、私もロンググッドバイはもう何回か読んでいます。清水俊二氏の訳で。で、数年前に村上春樹氏が翻訳したのを知っていたのですがしばらく読む機会がなく、やっと今回読むことができました。
やっぱりいいんです、この香りが。清水俊二氏の訳とはまた違う魅力があるのです。

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イメージと違ったフィリップ・マーロウ

おそらくこれから書くことは、私の無知、理解力のなさ、そういったところからくるものだと思うのですが、そして多くのマーロウファンから怒られると思うのですが(多くのマーロウファンがこの拙文を読んでくれていればの話ですが)、結構、女性に興味を示すんだなぁ……と感じたのです。何回か、ロンググッドバイ、いや、清水俊二氏の訳で読んでいたので「長いお別れ」を読んだはずなのですが、フィリップ・マーロウが女性に興味を示すシーンは無かったような。
私の記憶が定かではないのかもしれません。あるいは、村上春樹氏が後書きで述べているように、清水俊二氏の訳本は、原作からゴッソリ外されている部分があるそうなので、そういう部分が外されていたのかもしれません。
いずれにせよ、今回、私の頭の中に登場したフィリップ・マーロウは、結構、女性に対してエロティックな感情を抱くわけ(私の解釈違いかもしれません)、そしてそれが、物語の展開に大きく影響を与えるわけで。

とにかく、村上春樹氏も言っているように、既に半分くらい古典の文学になっているロンググッドバイは、ミステリーとしても面白いわけです。それは、何度読んでも、そうなんですよね。ただ、ストーリーはもう知っているわけですから、その香りを楽しむ、というか。
何度読んでも、レイモンドチャンドラー・チャンドラーらしい、フィリップ・マーロウらしい香りがする。それはいいお酒のようなものなのでしょう。

やっぱり、カッケーとしか言いようがない

ストーリーが驚くほど良くできているかというと、そこはどうなんだろうか、と首をかしげるところもあるのですが、でも、読み始めてしばらくすると止まらなくなるのは事実です。
そして、いよいよ大詰めに来て、
「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」というセリフが出てくるあたりで、もう、ロング・グッドバイを読んできてよかった、と悶絶するのです。
で、さらに。
「ギムレットを飲むには、少し早すぎるね」が登場するあたりでは、ロング・グッドバイに心地よく酔いしれるわけです。
やっぱり、カッコいいんだよ、この小説自体が。
そして最後は、ロング・グッドバイがやってくる。
先ほどの、少しだけ死ぬことと比べて、ロング・グッドバイはどんなお別れなのか……それは、読んだ人だけが味わえるのです。

村上春樹氏は、ロング・グッドバイの後書きもしっかり書いているのですが、いや、しっかりというより、長いんです、とにかく。この長い後書きを読むだけでも価値ありかな、と。
つまり、後書きとは、本編を読んだ読者に対するお別れなわけで。
この、村上春樹氏による後書きも、長いお別れ、ロング・グッドバイになっているのです。

◆ ぜひ、読んでみてください

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