未必のマクベス 早瀬 耕 ハヤカワ文庫JA

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未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

「これは俺が書きたかった小説だ」数十ページ読み進めて、そう感じました。
こんな小説が書きたいし、読みたい。だから、先ず、皆さんに宣言します。「未必のマクベス」は絶対面白いから、読むべき小説の一つですよ。
舞台は香港や澳門など東南アジアと日本。
犯罪小説、サスペンス小説、ビジネス小説、恋愛小説、ピカレスク小説……いろいろな側面がある。けど、中井優一と鍋島冬香の、高校時代の同期の恋愛小説なんです。
とても切ない恋愛小説。
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マクベスの筋書き通りに話は展開する

タイトルの通り、物語はマクベスの筋書きと同じように展開していきます。
私は、シェイクスピアのマクベスは、福田恆存の訳のものを一度読んだことがあります。また映画になったものを一度観たことがある。高校生か大学生の頃。そして、小説も映画もそれほどエキサイティングではなかった記憶があります。映画版マクベスの森が動くシーンは今でも印象に残っているし、冒頭だったと思うけど、3人の魔女がマクベスに予言を告げるシーンも覚えている。でも、決してエキサイティングではなかったのです。
本書でも主要な登場人物が、マクベスは読んだことがあるが、そんなに面白かったとは思わなかった、と行った趣旨の記述があったが、私のマクベスに対する感じは同じようなものだった。
そして、未必のマクベスは、本家のマクベスのようにストーリは展開していきます。
マクベスはシェイクスピアの4大悲劇の一つ。でも、何が悲劇だったのか、よくわからなかった(もちろん、私の読解力や理解力、感受性の問題なのだろうけど)。
でも、「未必のマクベス」は、悲劇だ。どうしようもなく悲劇なんですよ。

あなたの過去の恋愛経験の中に、未必のマクベスは刻まれているはず

歳を取ると、人生を振り返ることも多くなります。
みんなが、というわけでもないのでしょうが、若き日の、記憶の扉に閉じられた恋愛があるはず。全て過去のこと。でも、必ず影響は受けている。きっつそうなのだろうと思う。誰しも、自覚はなくても。
まあ、訳のわからないことを書いているわけですが、未必のマクベスを読むと、私がなんでこんなことを書いているか、わかってもらえると思います。
ああ、正に、未必だったのだなあ、いや、本当は未必ではないのではないか……なるべくしてなったのでは……。

旅行に行った気分で読むのもいいかも

この小説の説明は難しい。
単純なボタンの掛け違いで、人生は大きく変わる。でも、あの人を想う強い気持ちは、生き続ける。
そんなロマンティックでセンチメンタルな小説なのです。
一方で、香港や澳門が主な舞台で、その辺りの描写が素晴らしい。ホテルの屋上のレストランでビールを飲むシーンや、ある島のポルトガル料理を楽しめるお店……どこにも季節があり、地勢と気象と人々の息遣いを感じとることができる。
まるで、主人公が私の代わりに、あるドラマの装丁のもとに旅をしてくれているよう。
数日間の(私は1週間もかからずに、仕事の合間をみて本書を読み終えた)旅。
「未必のマクベス」で、よい旅を。
やるせなく切ない、恋愛を。

ぜひ、読んでくださいね。
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未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

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