ジヴェルニーの食卓 原田マハ 集英社文庫

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ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

【今日の一言】
不思議に旅に出たくなった

印象派の画家たちを描いた連作集。登場する画家は、マティス、ドガ、セザンヌ、そしてモネ。そして、その画家たちの、近いところでのご縁があった女性を通してストーリが語られる。
美しく、情熱と冷徹に溢れ、そしてストイックで切ない物語。
これは、読む絵画のようだ。
18世紀のパリやフランスの地方がみずみずしく描かれ、それも本書の大きな魅力。その描かれたところやことが、あの名画になっていたとは……。

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まるで、その場に居合すような描写

ページを開いた数分後には、私はニースにいた。コート・ダジュールの風や日差しを感じる。さらに気づくとマティスのアトリエにいる。物語を語る女性達が、当時マティスのために用意した料理の香りまで漂ってくる。
私たちは、贅沢にも、印象派の名だたる画家たちのアトリエを、本人の邪魔することなく訪れることができる。
なるほど、こういうふうに作品は描かれたのか、と、画家の苦しみ、もがき、喜びなどが伝わってきて、少し鼓動が高まる。

漣のように交差する想い

画家たちのパッションを感じながら、物語の語り手である女性たちの想いも、交錯する。それは恋なのか、家族のような絆なのか……。選ばれし芸術家たちの今そこに溢れ出ているパッションや、流れてている苦悩のという名の血をそばで浴びながら、それでもバランスのとれたかんけいをたもち、芸術家と彼らの偉大な行為のために自分を捧げているようでもある生き方
それが、切なく、しかし熱く胸を打つ。

大河のように抗われぬ流れ

芸術の流れは、それは大河のようだった。貧乏で、それでも才能はあると信じて、画廊で熱く語った若き画家たちは、やがて時の流れに押し出されるように、世の中に出て行く。それは選ばれしものの特権でもあったのだろう。
彼らは、自分の才能と勇気に見合う名声を得ていく。その流れも、実に興味深かった。

そして、旅に出たくなった

連作の最初の作品のタイトルは、美しい墓。描かれているのはマティスのこと。そして、美しい墓とは……。これはネタバレになるので、ここで留めておくが、ひとつだけ書いておきたいのは、この美しい墓を、私はぜひ、見に行きたいと思った、ということ。
つまり旅に出たくなった。その旅は、フランスの南の方で、海岸に近い所であることは、間違いない。先ずは、美しい墓から、そこから始まる旅に。

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